84歳のわたしの母はアルツハイマーです。今は介護保険の要介護3、中度の区分です。
認知症の本人と家族にとって、当たり前の一日一日を過ごすことが格闘です。時々、投げ出したくなることもあります。家族介護だけではどうしても閉じこもりは避けれません。支える家族も共倒れ必至です。
母は初期の軽度でアルツハイマーと診断を受けて、デイサービスは週一回から利用を始めました。現在は、週6回・毎日デイサービスに行きます。デイサービスに行くことで、専門職のみなさんの支えもあって、人とふれ合い、生活のリズムも心も安定します。アルツハイマーの進行は避けれません。しかし、デイサービスで状態が落ち着き、重度化の進行を防ぐ大きな力となっていることは間違いありません。
『社会保障改革推進法』、推進法を検討した『社会保障制度改革国民会議報告書』を読みました。
自民、公明、民主の三党合意から進められている、これほど露骨な改悪の方向は、もう社会保障と呼べる代物ではありません。絶対に認めることはできません。
介護保険について『法』では、「適正化」「効率化」「重点化」を図るとあります。よりよい介護への願いに背を向けて、削ることだけです。
『報告書』はそれを受けて改悪の羅列です。要支援者に対する給付は介護保険から外して、「地域包括推進事業に段階的に移行させていく。」「特別養護老人ホームは中重度者に重点化」「デイサービスについては、重度化予防に効果のある給付への重点化」等です。
この改悪に対して、認知症の人と家族の会のアピールに大賛成です。
しんぶん赤旗 2013.8.30付より
参考資料・2013.6.1認知症の人と家族の会総会アピール
増税の一方で負担引上げ・給付抑制は道理にも合わない
予算の使い道に知恵を絞ろう ・2013総会アピール
2013年6月1日
認知症の人と家族の会 総会参加者一同
本日、私たちは、北海道から沖縄県まですべての都道府県から266名の会員が参加して総会を開催しました。今年は結成33周年。認知症に対する医療面、福祉面とも対策が皆無であった時代から、国や自治体での施策が進み、認知症に対する社会の理解も前進してきた歴史でした。家族だけでは介護はできない、社会的に支えるべきという私たちの主張は、介護保険制度の創設で一気に実現に近づいたと思えました。「痴呆」から「認知症」への言い替えは、本人の発言とも相まって認知症への関心と理解を飛躍的に進めました。
私たちは、この流れを「認知症新時代」と表現して歓迎し、「『ぼけ』ても安心して暮らせる社会」の一日も早い到来を期待しました。
しかし、介護保険が国民の暮らしを支える制度としての効果をあげ利用者が増えるに従い、財源面の理由から負担増とサービス(給付)抑制を図る動きが始まりました。その動きは数年をかけて徐々に大きくなり、そして今、社会保障制度改革国民会議などではまるで他に道はないかのような議論が進められています。
「家族の会」は、「提言」と「要望書」で提案と要望を行い、アピール「介護保険が危ない」などで警鐘を鳴らしてきました。私たちが今、もっとも危惧している動きは、①要支援と要介護度の低い人たちを介護保険から外す動き ②その人たちが利用できるサービスを抑制する動き ③その人たちの利用料を引き上げる動き、です。どれが実施されても、初期・軽度の人たちがサービスを使えなく(使いにくく)なります。これでは認知症への対応としては正しくありません。「オレンジプラン」の初期対応重視の方向性とも矛盾します。
認知症高齢者462万人、軽度認知障害400万人と言われる状況からも、初期・軽度の人たちへの施策は欠かせません。初期・軽度の人へのケアの充実こそが進行を防ぎ、ひいては費用の節約にもつながるのです。また、消費税を増税する一方で負担引上げとサービス抑制をすることは道理にも合わないことです。
初期・軽度の問題以外にもケアプラン有料化などの議論も行われています。中等度・重度の人にとっても使いにくさが増します。
介護保険はわが国の社会保障の一環でなければなりません。世界の中でも決して貧しくはない日本で、予算の使い道に知恵を絞れば、増税でもなくサービスの抑制でもない道はあるのではないでしょうか。「家族の会」はそう主張します。
認知症の本人と家族のみならず、認知症に関わる事業者、そこで働く人たち、研究者、行政関係者、ボランティアのみなさんが、せっかく介護の社会化をすすめてきた介護保険を後戻りさせないために、そしてオレンジプランが実現するように、私たち「家族の会」と一緒に知恵を出し声をあげてくださるように心から訴えます。
医療、介護、福祉、社会保障